大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和35(オ)1324 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を原審大阪高等裁判所に差戻す。

理 由

上告代理人三宅岩之助の上告理由書記載の上告理由および上告代理人北山六郎の

上告理由第四点について。

原判決認定の昭和三二年一月一日付賃貸借契約延長証書(甲二号証)の記載内容

は、比較的簡単なものである。そしてこれに署名捺印した被上告人は、映画館を経

営している者であること原判決の判示するところであるから、たとい原判決の認定

するように汽車の時間に迫られて急いでいたという事情があつたとしても、被上告

人がこれを一読してその記載内容全部を了解できなかつたとは到底考えられない。

原判決が被上告人において右書面の但書記載部分を十分了解しないでこれに署名捺

印したものと判示したが、右判断は経験法則に違背するものといわなければならな

い。そして、原判決の本件賃貸借契約合意解約がなされたとは認められない旨の判

断は、前記事実判断を基礎とするものであること判文上明らかであるから、前記の

違法は判決に影響を及ぼすこと明らかなものとして原判決は破棄を免れない。なお、

前記賃貸借契約延長証書の但書記載部分が果して上告人主張のように本件貸借契約

合意解約の趣旨で記載されたものであるか否かは、なお審理判断を要するから、本

件を原審に差し戻すべきである。

よつて、右上告代理人らのその余の上告理由についての判断を省略し、民訴四〇

七条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 石 坂 修 一

裁判官 河 村 又 介

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裁判官 五 鬼 上堅 磐

裁判官 横 田 正 俊

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